クラウドサービスが急速に普及し、今やクラウドサービスを使っていない企業はほとんどありません。一方で、日本においてはクラウドサービスを効果的に活用できている企業は少ないと言われています。
今回は中小から大手まで幅広く活用されているSaaSと呼ばれるクラウドサービスにフォーカスして、企業が効果的にSaaSを活用するにはどのように向き合うべきかを説明していきます。
そもそもSaaSとは
SaaSの定義
SaaS(Software as a Service)とは、インターネットを通じてソフトウェアを提供するサービスのことです。ユーザーはソフトウェアを自分のコンピュータにインストールする必要がなく、ウェブブラウザを通じてアクセスできます。
SaaSのメリット
初期投資が少ないためコストの削減が可能になること、ソフトウェアの更新・システム管理やメンテナンスをサービス提供側で対応するため手間が省けることなどが挙げられます。
SaaSのサービス例
B2C向けで有名なSaaSサービスは、Gメール、メルカリ、マネーフォワードなどが挙げられます。B2B向けですと、CMなどでよく見かける「奉行シリーズ」、「SmartHR」、「楽楽清算」などが挙げられます。
B2B向けのSaaSを導入する際に留意すべき点
セキュリティの懸念
インターネットさえ繋がってさえいればいつでも便利に利用できるのがSaaSサービスの良い点ですが、その反面、データ漏洩や不正アクセスなどのセキュリティリスクが存在します。
カスタマイズの限界
SaaSはそのサービスを提供する企業が考える最適な業務フローを軸に一般化されたシステムである場合がほとんどであり、企業ごとの特定のニーズに合わせてカスタマイズを行うことを前提としていません。そのためカスタマイズ性は低いといわれています。
その他
上記以外にも様々な留意すべき点があります。インターネット接続ができない又は不安定な場所では作業ができない、サービス終了のリスク、既存システムからSaaSシステムへの移行の複雑性などが挙げられます。
SaaS導入における日本企業の課題
現場を主体としたカイゼン活動によるSaaSサービスの乱立
日本では現場主義のカイゼン活動が組織文化となっている企業が多く、業務プロセスを全体最適の観点で整理することが不得意であるといわれています。そのため、企業内の各組織でSaaSのサービスを導入し企業全体に様々なSaaSサービスが複雑に存在してしまっているケースも多く見られます。
業務を変化させずシステム側を都合よく変えたい欲求
ほとんどの日本の企業・組織は、業務を変化させることに前向きではありません。カスタマイズを駆使してなるべく業務を変えず、企業独自のシステムを構築する傾向にあります。
B2B向けのSaaSを導入するうえで持つべき考え方
ITガバナンスを効かせた組織体制を確立させる
現場主体でカイゼンを進めることはすべて悪ではありませんが、SaaSを含めたITシステムの導入には常に全体最適の考えを持ち検討する必要があります。企業でそれを実現する場合、経営戦略にITを盛り込んでいくことが一番好ましく、そのために企業全体の業務プロセスの改革を進めるチームを構成しITガバナンスを効かせていくことが重要です。
業務を変化させることに前向きになる
SaaSのサービスはその提供者が最も適していると考えた業務フローをシステム化したものであるため、本来であればそれに準拠し業務を変えていくことが必要となります。SaaSサービスの考え方や構成を理解し、業務を抜本的に変えていく覚悟が必要となります。