【新卒一括採用は日本だけ?】採用の日本と海外の違い

皆さんも学生のころに就活を頑張った経験があると思います。日本では毎年4月にほとんどの企業が新卒一括採用を実施していますが、海外では中途採用が一般的です。この違いはジョブ型、メンバーシップ型といった雇用形態の違いが原因です。本記事はこれらの違いを概要ベースで理解することを目的とする記事です。(詳細についてはジョブ型とメンバーシップ型についての記事をご確認ください。)

メンバーシップ型とジョブ型の違い

ジョブ型雇用

ジョブ型雇用は、特定の職務に対して専門性を持つ人材を採用する形態です。職務内容が明確に定義され、成果に基づいて評価されることが多いです。リモートワークやフレックスタイムなど、柔軟な働き方がしやすいのも特徴です。

メンバーシップ型雇用

一方、メンバーシップ型雇用は、組織全体への適応力や協調性を重視します。長期的な雇用関係を前提としており、定期的な異動や配置転換が行われることが多いです。幅広い業務を経験し、総合的なスキルを身につけることが期待されます。

日本での一般的な雇用形態はメンバーシップ型

日本では、メンバーシップ型雇用が一般的です。終身雇用や年功序列を前提とし、社員の長期的な育成と企業への忠誠心を重視します。新卒一括採用や定期的な異動、ジョブローテーションが特徴です。

新卒一括採用の特徴

新卒一括採用は日本特有の制度で、企業が卒業予定の学生を対象に年度ごとに一括して求人し、在学中に採用試験を行って内定を出し、卒業後すぐに勤務させるというものです。この制度は、終身雇用や年功序列といった日本型雇用システムと密接に関連しています。

海外の雇用形態はジョブ型

欧米では、特定の職務に対して専門性を持つ人材を採用する「職務型雇用」が主流です。中途採用が一般的であり、欠員が出たポジションを埋めるために専門性を持つ人材を採用します。賃金や評価は、年功序列ではなく、個々の能力や成果に基づいて行われます。また、アメリカでは「Employment-at-will」という雇用形態が一般的で、雇用主と被雇用者が双方の自由意志に基づいて雇用関係を維持します。

雇用形態の違いが教育機関の在り方にも影響している

ジョブ型雇用の教育機関

ジョブ型雇用を前提とする教育機関では、特定の職務に必要な専門知識やスキルを重点的に教えます。技術系の大学や専門学校では、実践的な技術教育が行われます。

また、学生の成果や能力を評価するシステムが導入されており、実際の業務に直結するスキルの習得が重視されます。学生が卒業後にどのような職務に就くかを明確にするためのキャリア支援が充実しています。インターンシップや企業との連携が盛んです。

メンバーシップ型雇用の教育機関

メンバーシップ型雇用を前提とする教育機関では、幅広い知識やスキルを身につけることが重視されます。例えば、総合大学では、専門分野だけでなく、幅広い教養科目が提供されます。

また、学生の長期的な成長を見据えた教育が行われ、協調性や適応力を高めるためのプログラムが充実しています。さらに、学生が卒業後に企業で長期的に働くことを前提として、組織への適応力やチームワークを重視した教育が行われます。

雇用形態の違いに対して企業と一社員はどう向き合うべきか

これまで簡単に雇用形態の違いを説明してきましたが、雇用形態の違いは教育機関のあり方にも関連しており、育つ人材も大きく変わってきます。日本に自律的な社員が少ないこともこれが影響していると考えられています。

海外企業の制度をそのまま導入することのリスク

海外では実践的なスキルを持ち、自律的なマインドを持った人材が集まるためそれを前提として会社の制度が構築されています。そのため、海外企業の制度をそのまま真似して取り入れることは効果的ではありません。一時期、ジョブ型人事制度・成果主義などが各企業で取り入れられましたが、業界、事業内容、規模の違いなどによってその効果は異なります。法制度・企業の事業や組織のあり方を理解し、ビジョンを実現するために必要なマネジメントが企業には求められます。

社員はメンバーシップ型の雇用に慣れてはいけない

メンバーシップ型は解雇されにくいという観点から一見社員にとっては良い環境にも思えますが、長期的な目線で見ると必ずしも良いとは言えません。個人の価値を向上できていないものの年数が経てば給料が上がっていく状況は労働生産性を低下させることになり、企業の成長に貢献できず企業の存続も危ぶまれます。

転職する場合においても市場価値の低い人材になってしまい、同世代と比較して低い水準の給与になる可能性があります。成果主義の考えが広まってきている現代では市場価値の高い人材が正しく評価される時代になってきている反面、スキルのない人材には適正な給与を支払う傾向が強くなることが予想されます。

年功序列、終身雇用といった環境に甘えず、自律的に考え行動し自身の価値を高めていく姿勢が今後の社会において重要であると考えます。

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