「イノベーション」って何?少し深く考えてみる

イノベーションに対する考え方でビジネスへの取り組み方が変わる

「イノベーションって何ですか?」と聞かれたら、皆さんはなんと答えますか?おそらく、ほとんどの人はイノベーションという言葉に対して何となく知っているレベルだと思います。私も昔は何となく「技術の進化、新しいビジネス」といった感じで理解していました。 ある機会にイノベーションについて深く考えるきっかけがあり、今までの自分の理解の浅さを実感しました。それと同時にビジネスにおける重要なワードに対する考え方をしっかり持っておく必要があることを理解しました。

基本的に企業はイノベーションに対する目標を掲げて取り組んでいます。しかし、そのイノベーションに対してどのように考えているかによって企業の取り組み方は変わってきます。所属する企業や顧客企業がどのように考えているのかはビジネスマンとして理解しておいた方良いですし、起業するにあたってもイノベーションに対する考えを明確にするとともに、チームメンバーに打ち出していくことが必要となると思います。本記事では、イノベーションに対するどのような考え方があるのか、どう考えるべきなのかを述べていきます。

イノベーションの提唱者

イノベーションという言葉は経済学者のヨーゼフ・シュンペーター著:『経済発展の理論』(1912年)にて提唱されたのが起源です。それから100年以上が経ち、今ではイノベーションに対する考え方が40以上あるとも言われています。この理論の中心的な概念に「創造的破壊」があります。

創造的破壊とは

新しい技術や製品が古い技術や製品を置き換える過程を指します。これにより、経済は絶えず変化し、成長していくと考えられています。そのためシュンペーターは、イノベーションが経済成長の主要な原動力であり、企業家がこの過程の中心にいるとも述べています。

様々なイノベーションに対する考え方

イノベーション=技術革新

イノベーション理論の一つに「新結合」という考え方があり、新しいものを組み合わせることでイノベーションを起こすことができるといわれていました。そのため、新しい技術があるとイノベーションが起きるといった考えから「イノベーション=技術革新」と認知されるようになったと考えられます。また、1958年の経済白書による紹介の際に「技術革新」と記載されたものが定着したとの説もあります。

ドラッカー:人々の生き方・考え方に影響を与えるもの

現代経営学の父といわれたピーター・ドラッカーは、「イノベーションと企業家精神」をはじめ、イノベーションについて様々な書籍で言及しています。それらの書籍で、ドラッカーは創造的破壊だけではなく、人々の生き方や考え方に影響を与えるレベルの変化もイノベーションと捉えていると解釈することができます。

幼少期にシュンペーターに会ったこともあるドラッカーはシュンペーターが提唱したイノベーション理論の影響も受けているといわれています。

OECD(経済協力開発機構)​の定義

「自社にとって新しいものや方法の導入」をイノベーションと定義し、新しい製品・サービスを市場へ導入すること、職場組織の再編成、生産プロセスの改善などといった項目もイノベーションに含まれるとしています。

イノベーションをどう考えるべきか

イノベーションについての考え方を紹介しましたがこれは一例です。様々な考え方がありその考え方の違いによって企業の取り組み方が変わります。

イノベーション=技術革新で顧客にとっての本当の価値を見失う?

イノベーションを技術革新と考えた場合、企業は新しい技術を開発することが第一の優先事項となります。これは過去に日本の企業が陥ってしまった誤った認識とも言われています。革新的技術を開発することでイノベーションが実現できるといった考えはある意味正しいですが、それだけに固執すると、顧客からすると無駄な機能・性能が備わった製品を作ってしまうことや、ビジネスに応用できない技術となってしまい無駄に研究費用をかけてしまうリスクもあります。

新しいことを取り入れることがイノベーション?

自社にとって新しいことを取り入れることをイノベーションとして考えてしまうことのデメリットとして、日ごろの業務改善がイノベーションであると認識してしまう傾向にあります。もちろんそれも企業において大事なことですが、部分最適を重視する状態は社会を変革するほどのイノベーションが起きにくくなるといわれており、全体最適の観点で創造的破壊を目指すイノベーションにもチャレンジしていくことが必要です。

既存事業の継続的イノベーションと新規事業における革新的なイノベーションを目指す

企業の成長において、既存事業の価値を高めることは必要不可欠であり、カイゼンマインドが定着している日本の企業はおおむね得意な分野であると考えることができます。反対に技術力を高めることが重要といった考えが根付いていることで、新しいモノを生み出すときに必要とされる顧客視点でのビジネス展開が弱みといわれており、顧客の潜在的欲求を見出し当らなビジネスを考案することは苦手と考えることができます。

イノベーションに対する考えは様々あり、場合によって必要な考えが異なる可能性もありますが、今の日本は変革を起こせていない状況が大きな課題である以上、間違いなく革新的なイノベーションを起こすための考え方が必要だと考えます。変革はすべての人にとって良いことかといわれるとそうではないでしょう。今の仕事が不要になり、新たな仕事を覚えることが必要にあるケースも多くあります。しかし、長期的な視点で考えれば、それが無ければ経済成長はなく持続的な豊かな生活を送ることが困難になっていき結果的に貧しくなっていくことになります。変化を受け入れ、新しい社会を楽しみ、新しいことに興味を持って覚えるマインドを持った人が増えることが重要な要素であると私は考えます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次